むずむず脚症候群と鉄欠乏の見方

血液検査で貯蔵鉄の指標である血清フェリチンを測定することは、治療管理の決定に大切です。

むずむず脚症候群と鉄欠乏の見方

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むずむず脚症候群の場合に行う検査結果の解釈

「病院で受けた血液検査では貧血はないと言われました」

「でも、じっとしていられない足の症状はあるのですが・・・」

むずむず脚の症状があるとき、鉄代謝に関わる
血液検査の結果について考察します。

 

体内にある鉄の貯蔵量が大切です

一般的には、鉄欠乏性貧血の重症度はヘモグロビンの程度、貯蔵鉄の数値、自覚症状などで、変わってきます。

むずむず脚症候群の治療管理を理解する上で、簡単に次の三つにします。

1.正常

2.潜在性鉄欠乏症

3.鉄欠乏性貧血

 

1の場合は、正常なので、白と仮定します。貧血がない、貯蔵鉄も十分。

3の場合では、貧血があって、貯蔵鉄も枯渇している。いわゆる黒の状態と仮定します。

 

注意すべきは・・・

2.潜在性鉄欠乏症の場合。

ヘモグロビンは正常で貧血なしと判断されますが、
貯蔵鉄が減っている状態です。

白でも、黒でもない、中間にある「灰色の領域」です。

 

治療管理について

鉄欠乏性貧血+むずむず脚症候群であれば、
容易に判断がついて、鉄補充療法を開始します。

 

一方、むずむず脚症候群の症状を訴える方の血液検査が、
「灰色の領域」(ヘモグロビン正常、フェリチン低下)を示しても、
やはり鉄の補充が治療管理となります。

 

鉄欠乏がむずむず脚の症状を引き起こす

貯蔵鉄の低下は、脳内のドパミン機能に影響します。簡単に理解するためのメカニズムは、以下のイメージです。

潜在性鉄欠乏症(体内の鉄の貯金が少ないイメージ)

脳内で、鉄分の不足によるドパミンのはたらき低下

むずむず脚の症状が出現

 

潜在性鉄欠乏症を見つけるのに、
血清フェリチン測定が大切です。

 

貧血のない鉄不足でも発症する「むずむず脚の原因」を
見つけるには、「血清フェリチン」という検査項目が
役立ちます。

 

体内の鉄分不足を治療するときの目標

どの程度まで、フェリチンを回復させるべきか?

一般的には、75 ng/ml以上を目標とします。

数ヶ月かかる場合があります。

 

ただし、長い間、鉄不足状態が続いている場合は、鉄剤の補給でも
むずむず脚の症状が、なかなかとれないことがあります。

この場合、ドパミン製剤を検討します。

 

ふりかえり

「むずむず脚症候群にはドパミンが効くと書いてあったから薬を欲しい」

 

血液検査による鉄代謝の評価を受けずに、ドパミンアゴニストを飲み始めることは要注意です。

たしかに、ドパミンアゴニストは、「むずむず脚の症状」を緩和する効果はあります。

しかし、鉄分の不足が背景にあれば、鉄分の補充によって根本的に治る可能性があるのです。

 

「病院の血液検査では、貧血はないと言われたけど・・・」

 

貧血がなくても、体内の鉄分不足である潜在性鉄欠乏症があれば、むずむず脚の症状が起こる可能性があります。

「血清フェリチン」の数値がどのくらいか、体内の鉄分について、詳しく調べておきたいものです。

 

次回は、むずむず脚とフェリチン測定の注意点についてお伝えします(つづく)

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