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むずむず脚症候群と原因検索の血液検査

むずむず脚症候群の原因を探るための血液検査

「何が原因なのか、気になってしょうがない」

「どんな検査の項目で分かるのですか」


 
インターネットで調べた結果、自分の症状がむずむず脚であることが分かると、原因について疑問に思います。

今回は、血液検査を中心に話をします。

 

原因:一次性と二次性の違いとは?

むずむず脚症候群は大きく分けると、原因不明である一次性と何からかの原因がある二次性があります。

脳にある神経伝達物質「ドパミン」のはたらきが低下することが、脚の症状を引き起こしていると考えられています。

一方、貧血、腎不全(透析)、関節リウマチが原因であることもあります

二次性の「むずむず脚症候群」と呼ばれます。
 

二次性要因を調べる理由

貧血、鉄不足が関係していることが多いのです。

実は、体内の鉄分が不足するとドパミンの働きに影響します。

女性の場合、貧血が要因となって場合が多いのです。

そのため、血液検査を行うのです。

 

血液検査ではどんな項目を調べるのか?

貧血の評価と言えば、血算という検査項目です。その中でも、ヘモグロビン(血色素量)のレベルを確認します。

しかし、ヘモグロビンが正常でも、むずむず脚症候群の症状が出現することが少なくありません。

そこで、血清フェリチン(貯蔵鉄の指標です)を測定します。

むずむず脚の外来では定番の検査です。
 

鉄代謝について詳しく調べます

「病院や健康診断で、貧血はないと言われたけど・・・」
 

血清フェリチンを測定することで、体の鉄分が不足しているかが分かります。

むずむず脚症候群で悩んでいる場合、未測定なら、調べる意義があります。

 

血清フェリチンとは?

血液中にある鉄は、血清鉄と呼ばれています。検査結果では、Feと書いてあります。流れている血液に含まれる鉄のイメージです。

一方、肝臓を中心にして、脾臓、骨髄にフェリチンという形で貯蔵されている鉄を貯蔵鉄と呼びます。

 

鉄不足が引き起こす「むずむず脚」の症状

寝る前に起きる脚の不快な症状で悩んでいるとき、女性では次のパターンが多い印象です。

血清フェリチンが低い

体内の鉄不足

中枢神経系のドパミンの機能低下

むずむず脚の症状

 

貧血と鉄不足の基礎知識について

むずむず脚症候群の原因の中で、注目したいものは、鉄分の不足と貧血です。

鉄不足に伴う貧血を、「鉄欠乏性貧血」と言います。

 

ヘモグロビンの値で評価します。

男女で基準値が異なりますが、ざっくりと正常と異常の境目は、次の通りです(成人の場合)。

男性:13.0g/dl

女性:12.0g/dl

基準値を下回れば、貧血と言います。

 

一方、貯蔵鉄のマーカーであるフェリチンの基準値は、次の通りです。

男性:13~277 ng/ml

女性: 5~152 ng/ml

フェリチンの数値が高ければ、体内の鉄分が豊富にあると判断します。

 

体内に「鉄の貯金」がどれだけあるかをみる指標とイメージすると良いです。

当然、フェリチンが低い数字であれば、鉄不足を意味します。

 

ただし、慢性炎症に伴う貧血でも、フェリチンは上昇します。今後、取り上げる予定です。

 

次回、血液検査の結果の詳しい見方と治療管理を予定します(つづく)。